大学院受験記(東京理科大学 先進工学研究科 物理工学専攻)

初めに

先日、東京理科大学大学院 先進工学研究科 物理工学専攻を受験した。運良く合格を頂いたので体験記をここに記す。

試験形式など

試験形式は口頭試問オンリー。受験者控室に9時集合。服装はスーツ。私服もいたが、わずかであった。服装は合否に関係がないようだ。
受験票を家に忘れて肝を冷やしたが再発行することで難を逃れた。受験票の忘れも合否には響かない。

試験時間は20分程度、受験者控室に順番が張り出されている。基本的に受験番号が早い順。ちなみに受験番号は名前順で決められている。

出題形式は
・物理学の基礎知識から2題(古典物理学(力学・電磁気学)から1題、現代物理学(量子力学・熱力学・統計力学)から1題)+実験1題
・物理学の基礎知識から3題(力学・電磁気学・量子力学・熱力学・統計力学から3題。ただし古典物理学と現代物理学から1題は必ず出る)
のどちらかを口頭試問が始まるときに聞かれる。

実験は内部生ならば確実に選ぶべきである。出る題目が決まっているので対策がしやすく、点を取りやすい。
逆に外部生であるならば、理科大の実験テキストなどを持っていたとしても実験を選択することはお勧めできない。実験をした時の概要や、使用した試料を聞かれたりするらしい(前の世代の先輩方は聞かれたらしい)。

出題形式を選択すると奇妙なカードを30枚弱ある中から1枚ひかされ、そのカードによって問題が決定される。
解答形式は、まず2-3分で質問に対して自分で知っていることを話す(時間は結構ゆるめ、制限に対して短くても長くても加減点は恐らくない)。その後質問をいろいろな先生から飛ばされて答える。いろいろな先生といっても、主に出題した先生が中心となって質問してくる。

配点としては、説明が基礎点で質問に対する回答が加点されるといった感じ。基本的には基礎点を稼げれば合格すると思う。

英語試験について

理科大物理工学専攻では(というか、ほとんどの大学院入試において)英語の試験は外部英語試験のスコアシートの提出で代替される。私はTOEIC L&Rの公式スコア(835点)を提出した。研究室の教授曰く、提出されるTOEICスコアの平均は700点弱とのこと。ただ、口頭試問の配点と比べるとあまり加味されないらしい。

出題例

私が出題された問題を紹介する。
まず口頭試問の前に

今行っている研究の概要と、研究室を志望した理由を教えてください。30秒程度で。

という質問が飛んできた。ここは支離滅裂なことを言いさえしなければ合否には響かないと思う。答え終わると口頭試問が始まった。

問1:量子力学における物理量と演算子の関係を説明して下さい。また、物理量の期待値をどう求めるか説明してください。

そこそこ基礎的な問題。量子力学においては物理量は量子化され、物理量に対応した演算子になると説明した。さらに、その演算子を波動関数で挟み込んで全空間で積分することで期待値が求まるということを説明した。
この回答に対して

質問:物理量に対応した演算子はエルミート演算子になると思うのですが、その固有値の特性はわかりますか?

と問われ、あんまりわからずにふにゃふにゃとしたことを言った。おそらく加点はなし、基礎点は満点であろう。

問2:広義と狭義のLorentz力について説明してください。また、空間中の電流は磁場によってどのような向きに曲げられるか説明してください。

これは実際高校レベルの問題だと感じる。Lorentz力は\(\boldsymbol{F}=q(\boldsymbol{E}+\boldsymbol{v\times{B}})\)と表され、電場による効果を含めるのが広義で、磁場のみの効果を狭義と説明した。また、Fleming左手の法則によって荷電粒子がLorentz力によって曲げられ、結果電流が曲がり、曲がる方向は電流のキャリアによって変わることを説明した。
この回答に関して

質問:では、空間中に2本の電線があり、電流\(I\)が流れているとき、この電線間に働く力を説明できますか?

と言われ、黒板に図を書いて電流の向きを自ら定義し、Ampereの法則から磁場が発生することを示し、キャリアにかかるLorentz力によって結果的に電線は引き合うということを結論付けた。
これに対し、追加の質問で

質問:電線間の距離を\(a\)としたときに、積分形Ampereの法則から、この電線間に働く力の大きさを\(F\)を導出できますか?

と言われ、「導出はできませんが、確か\(F=\frac{I}{2a}\)みたいな形だったと思います。」と回答したところでちょうど質問の制限時間が来て終了した。
恐らく基礎点、質問点ともにほぼ満点であろう。

問3:熱電対の実験について説明してください。

1年生の実験からの出題であった。Seebeck効果の説明を量子統計論的な立場から説明した後、Seebeck係数の違いから電圧が発生するということを説明した。
この回答に関して

質問:熱電対で温度を測る際の回路を描いてください。

と言われ、黒板に頓珍漢な面白回路を書き、それってホントにあってます?といわれた。
恐らく基礎点は満点で加点は少しだけであろう。

総評

3問とも基礎点は十分な点数がとれたと思う。加点に関しては正直1問以外あまりないと思っている。全受験者の試験終了が14時すぎくらい、18時くらいになって研究室の教授が「君は受かっている(意訳)」と示してくれた。
おそらく外部大学から受験する人に対しては合否をほのめかすことはしてくれないと思う。今回の試験は籤運が強くて、運良く受かったみたいなところがある。とりあえず合格をいただいて、大学院生になれることが確定したので一安心、次の院試に向けてもう少し頑張ろう。

*追記(2023/8/10)
研究室の教授に「成績とかって教えてもらえるんですか?」と問うたところ、「詳しくは言えないが、君は相当上のほうだったよ。」というありがたい言葉を頂いた。つまり上記のような受け答えができれば上位で合格できるということだ。受験生にはぜひ頑張っていただきたい。

さいごに

理科大物理工学専攻の入試について記した。受験者は頑張ってください。質問等あれば下のほうにあるはずのコメント欄に記入してください、答えられる範囲で答えます。

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