統計力学 口頭試問対策

Boltzmann定数

Boltzman定数とは温度とエネルギー関係を表す定数であり、一般的に\(k_{\rm{B}}\)で表される。
\(E\)を系の粒子の持つ全エネルギー、\(N\)を系の粒子数、\(T\)を系の温度とすると\(E\)は
$$E=\frac{3}{2}Nk_{\rm{B}}T$$
と表される。また、熱力学温度\(T\)はBoltzmann定数によって
$$E=k_{\rm{B}}T$$
と変換される。

逆温度

逆温度\(\beta\)とは、熱力学温度\(T\)とBoltzmann定数\(k_{\rm{B}}\)を用いて
$$\beta=\frac{1}{k_{\rm{B}}T}$$
と定義される量である。

状態数・状態密度

状態数\(W(E)\)とは、ある系においてエネルギー\(E\)以下のエネルギー\(\varepsilon(E\geq\varepsilon)\)を持つ状態の総数である。

(上でいう状態数\(W(E)\)と下でいう状態数\(W(E)\)は全くの別物であるので注意されたい。)

また、エネルギーの揺らぎ\({\rm{d}}E\)の間にある量子状態の数\(W(E)\)は状態密度\(\Omega(E)\)を用いて
$$W(E)=\Omega(E){\rm{d}}E$$
と表すことができる。

状態密度関数

状態密度関数とは、微小エネルギー区間\({\rm{d}}E\)間にいくつの状態数を取りうるかというものである。\(n\)次元(\(n=1,2,3\))状態密度関数\(D_n(\varepsilon)\)は
$$D_n(\varepsilon)\propto\varepsilon^{\frac{n}{2}-1}$$
という関係がある。

\(\Gamma\)空間(位相空間)

\(\Gamma\)空間(位相空間)とは、粒子の自由度\(x,y,z,p_x,p_y,p_z\)を軸とした空間である。系の粒子数が\(N\)の場合、系の次元数は\(6N\)となる。

エントロピー(Boltzman関係式)

エントロピー\(S\)は微視的状態数\(W\)を用いて以下の式で表される。
$$S=k_{\rm{B}}{\rm{log}}W$$
エントロピーとは系の乱雑さ(状態数の無秩序さ)を表す量である。

分配関数(Partition function)

分配関数とは確率において、すべての確率の足し合わせのことである。式で表せば
$$Z=\sum_{i}P(E_i)$$
または、
$$Z=\int_{E}{\rm{exp}}\left(-\frac{E}{k_{\rm{B}}T}\right){\Omega}{\rm{d}}E$$
とできる。

ミクロカノニカルアンサンブル(小正準集団)・カノニカルアンサンブル(正準集団)・グランドカノニカルアンサンブル(大正準集団)

ミクロカノニカルアンサンブルとは系が完全に孤立しており、外部とエネルギーや粒子など含めやり取りがない系のことを指す。

ミクロカノニカルアンサンブルが温度\(T\)の熱浴(外部の温度一定の系)と接しているときの系をカノニカルアンサンブルという。この系においてはHelmholtz自由エネルギー\(F\)と分配関数\(Z\)との間に以下のような関係が成り立つ。
$$F=-k_{\rm{B}}T{\rm{log}}Z$$
この関係式より、カノニカル分布においては様々な物理量を熱力学関係式から導くことができる。

グランドカノニカルアンサンブルとはカノニカルアンサンブルにおいて粒子の出入りがある場合の系を指す。グランドポテンシャル\(J\)を定義すると\(J\)は
$$J=-k_{\rm{B}}T{\rm{log}}\Xi$$
と書くことができる。ここで\(\Xi\)はグランドカノニカルアンサンブルにおける分配関数である。

磁化・磁化率

磁化とは物質に磁場を印加した際に磁気的に分極することを指す。磁化\(M\)はHelmholtz自由エネルギー\(F\)を用いて
$$M=-\frac{\partial{F}}{\partial{H}}$$
と書くことができる。
また、磁化率とは磁化のしやすさを指す。ここで磁化率\(\chi\)は\(M\)を磁化、\(H\)を磁場として
$$\chi=\frac{\partial{M}}{\partial{H}}$$
と表すことができる。

Stefan-Boltzmanの法則

あらゆる波長の電磁波を吸収し、反射しない理想物体を黒体という(実際には存在しない)。黒体はその温度によってのみ決まる光を放射する(熱放射)。この時、熱放射の単位面積当たりエネルギー\(I\)と黒体の温度\(T\)の間には
$$I=\sigma{T}^4$$
の関係がある。ここで\(\sigma\)をStefan-Boltzman定数という。

Bose粒子・Fermi粒子

量子力学において、同種粒子は区別ができない。ここで区別のできない粒子を2つ用意し、粒子1と粒子2と名前を付ける。ここでこの2つの粒子を総合的に記述する波動関数\(\Psi(1,2)\)を定義する。ここで、粒子の入れ替えを行う演算子\(\hat{P}\)を固有値\(a\)として
$$\hat{P}\Psi=a\Psi$$
と定義する。ここで\(\hat{P}\)を波動関数\(\Psi(1,2)\)に作用させると
$$\hat{P}\Psi(1,2)=\Psi(2,1)$$
となる。また、定義した固有値\(a\)を用いると
$$\hat{P}\Psi(1,2)=a\Psi(1,2)$$
と記述することもできる。よって
$$\Psi(2,1)=a\Psi(1,2)$$
の関係を得ることができる。上式に\(\hat{P}\)をもう一度作用させると
$$\hat{P}\Psi(2,1)=\hat{P}(a\Psi(1,2))$$
$$\Psi(1,2)=a\hat{P}\Psi(1,2)$$
$$\Psi(1,2)=a^2\Psi(1,2)$$
という式が得られる。この式において、\(\Psi(1,2)\neq0\)より
$$a=\pm{1}$$
となり、固有値\(a\)の値を得ることができた。よって同種粒子系において、波動関数は粒子の入れ替えに対して
$$\Psi(1,2)=+\Psi(2,1)$$
の対称性と
$$\Psi(1,2)=-\Psi(2,1)$$
の反対称性を持つものに分類できるとわかる。この時、粒子の入れ替えに対して対称性を持つ粒子をBose粒子(Boson)、反対称性を持つ粒子をFermi粒子(Fermion)と呼ぶ。Bosonの例として光子、Fermionの例として電子が挙げられる。

化学ポテンシャル(Chemical potential)

化学ポテンシャルとは、1分子が移動するときに変化する系のエネルギーである。化学ポテンシャル\(\mu\)は系のエネルギー\(U\)、粒子の物質量を\(N\)とすると以下のように定義される。
$$\mu=\frac{\partial{U}}{\partial{N}}$$
Fermion系において、絶対零度\(T=0 [\rm{K}]\)における化学ポテンシャルをFermiエネルギー(Fermi準位)といい、\(\varepsilon_{\rm{F}}\)で表される。

熱的de Brogile波長

熱的de Brogile波長とは、ある温度においての粒子の量子力学的な広がりの度合いを表す量である。熱的de Brogile波長\(\lambda_T\)は
$$\lambda_T=\frac{h}{\sqrt{2\pi{m}k_{\rm{B}}T}}$$
と定義される。

Bose-Einstein凝縮(BEC;Bose-Einstein Condensation)

理想Boson系においては統計的引力が各Boson間に働く(参考ページ;5ページ目)。十分低温において熱的de Brogile波長が原子間距離程度になってきたとき、粒子の波動関数は広がり、量子統計性が顕著になってくる。この時、Bosonの統計的引力からある転移温度以下で巨視的な数のBosonが一斉に同じ量子状態に落ち込む。これをBose-Einstein凝縮という。BECは状態密度関数\(D(\varepsilon)\)の\(\varepsilon\)についての依存性により2次元Boson系では起こらない。

Pauli排他率

前項においてFermionに関する式
$$\Psi(1,2)=-\Psi(2,1)$$
が得られた。この式を粒子の任意の量子状態(*注釈)\(Q\)に関する波動関数に書き換えると
$$\Psi(Q_1,Q_2)=-\Psi(Q_2,Q_1)$$
と書くことができる。ここで粒子1と粒子2の量子状態が同じである、つまり
$$Q_1=Q_2\equiv{Q}$$
であると仮定する。すると、波動関数は
$$\Psi(Q)=-\Psi(Q)$$
とすることができる。この式を変形すると
$$\Psi(Q)=0$$
が得られる。これにより、粒子1と粒子2の量子状態が同じ波動関数は存在しない、つまるところ「複数のFermionが同一の量子状態を持つことは無い」ということが言える。これをPauli排他率という。

注釈:量子状態とは?
量子状態とは量子系における情報のことである。古典系においては物理量に相当するといってよいだろう(間違ってたらすまない)。ちなみに量子系において任意の物理量\(\hat{O}\)の期待値\(\langle\hat{O}\rangle\)は
$$\int\Psi^*(\boldsymbol{r})\hat{O}\Psi(\boldsymbol{r}){\rm{d}}\boldsymbol{r}$$
で表すことができる。

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